三井不動産リアルティ

Vol.39 2018 8月号

REALTY - news
今月のトピックス
Topics 1 HNAのトップの一人が、フランスで教会の崖から転落死
Topics 2 平成30年上半期の首都圏分譲マンション市場
Column 誰もが主役になれる劇場都市へと変貌する池袋

Topics 1

HNAのトップの一人が、フランスで教会の崖から転落死

 地方の一航空会社から巨大コングロマリットになった中国のHNA(海航集団)の共同会長、王健氏が、フランスで事故死しました。プロバンスの教会で転落防止用に設けられていた壁の上に立ち、自分の写真を撮ってもらおうとしたところバランスを崩して10-15m転落、内臓破裂で死亡したものです。一緒に出張していた人や周辺にいた人たちの証言から判断し、この事件は単なる不注意であり陰謀、謀殺、自殺等の可能性は全くないようです。

 HNAは3年間で総額400億$(4.4兆円)、123件の海外ディールを実施、借入金は940億$(10.4兆円)に膨らみ、中国の当局はこれを金融システム上のリスクとして、同社ほか3社に保有資産の売却を強いました。HNAの最近の大口の資産売却を見てみましょう。

 まずヒルトン株ですが、HNAは2016年に同社株を65億$(7215億円)で購入していましたが、この4月にすべての処分のめどがつき利益額は60億$(6660億円)前後と確定しました。この間に株価が急騰、このような大変な利益額になったわけです。

 次に香港の旧啓徳空港跡地開発ですが、HNAは2016年末以降4区画買っていて、先日そのうちの3区画、合計224億HK$(3180億円)の売却を完了しました。粗利益は概ね3億$(333億円)で、上乗せできた利益額は購入額に対して12-15%です。

 ニューヨークの旗艦ビル、245パークアベニューの買い手の最有力候補はオフィス・リートのSLグリーンとされ、交渉中の価格は22.1億$(2450億円)であるとまで報じられているのですが、まだ最終合意には達していないようです。

 他にも数多くあるディールの陣頭指揮を取っていたのが、今回、亡くなった王健氏です。上に挙げたのはみな、黒字売却ですが、これは「黒字で売れるものから売った」と理解すべきでしょう。売ると赤字となる物件は、塩漬けにする可能性があります。

 HNAは当局から、不動産ビジネス等からは完全撤退し、祖業である航空業、旅行業へシフトするようにと命じられているのですが、変な話も聞こえてきます。

 6月に中国の飛行機製造会社にジェット機300機を発注したのですが、これはいわば実質的な「政府保証付き」でしょうから良しとしましょう。

 しかしフランス人は良しとしません。エアバスはHNAから受注した6機のA330sについて代金支払いに不安があるとして、機体の引き渡しを控えています。実際、3月には中国でHNAの燃料代や空港使用料の未払いが問題化しました。祖業回帰も前途多難のようです。

(ドル=111円 HK$=14.2円 7月25日近辺のレート)

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

Topics 2

平成30年上半期の首都圏分譲マンション市場

 先日、不動産経済研究所が発表した首都圏の平成30年上半期マンション市場によれば、供給戸数は15,504戸で、前年同期の14,730戸に比べ5.3%増加、平均価格は5,962万円(前年同期比+1.3%)、㎡単価は87.5万円(同+2.9%)、上半期としては戸当たり、㎡単価ともに6年連続の上昇で、ともに1991年平均(6,450万円、㎡単価101.9万円)以来の高値となりましたが、初月契約率は平均66.7%で前年同期比-0.6ポイントになっています。

 地域別で見ると都区部が7,155戸(前年同期比+2.1%)・7,059万円(同-1.4%)・110.0万円/㎡(同+2.6%)・平均初月契約率70.3%、都下が1,635戸(同-24.1%)・5,246万円(同+3.2%)・74.4万円/㎡(同+4.3%)・平均初月契約率60.1%、神奈川県が3,008戸(同+6.2%)・5,665万円(同+13.7%)・79.2万円/㎡(同+13.6%)・平均初月契約率69.5%、埼玉県が1,676戸(同+17.0%)・4,286万円(同-1.5%)・61.2万円/㎡(同+0.3%)・平均初月契約率51.7%、千葉県が2,030戸(同+55.7%)・4,497万円(同+12.6%)・60.8万円/㎡(同+9.7%)・平均初月契約率67.5%という数値になっています。

 上半期は都下を除き昨年よりも供給増となりましたが、それでも15,000戸台。下半期供給戸数は昨年21,168戸、一昨年21,318戸で、今年の下半期は消費増税を見据えた供給が増加すると考えられることから22,000戸程度の供給が見込め、通年では37,000戸台と考えられます。

 一方、近年の大手デベの寡占状況を見ると、供給は都心部に近いエリアに偏る可能性が高く、供給数を稼げる郊外大規模の供給が減少して、都市部の再開発案件で大型のものが増える見込みとなり、価格が下がる気配はありません。「消費増税に伴う駆け込み需要」は多少見込めるものの、ユーザーの予算水準を考えれば、既に価格は“手の届かない”レベルで、消費増税も今のところ強い『追い風』にはなり得ないと考えられます。

 全体に市場の活性化は、ユーザーの購買行動が向上しない限り、戸数としての伸びはないため、難しい状況が続くでしょう。活性化を求めるならば、年収700~800万円層が購入できる価格帯の商品をどれだけ出せるかが課題になりますが、現在の建築費の高騰などを考慮すれば当面は難しいことから、まだまだ市場活性には程遠く、分譲マンション志向の一次取得層は「買う(買える)ものがない」という状況が継続するようです。

株式会社 工業市場研究所 川名 透

首都圏新築マンション(売出戸数・単価)

Column

誰もが主役になれる劇場都市へと変貌する池袋

来春竣工に向け建設の進む西武鉄道本社ビル

来春竣工に向け建設の進む西武鉄道本社ビル

 街が発展していく中で、池袋には解決しなければならない問題が幾つか生じました。一つは駅東西のエリアを結ぶ連絡通路があるものの常に混雑しているため行き来しづらく、駅東西の分断感が高いこと。一つは池袋が“駅袋”と揶揄される通り、デパートと地下商店街で形成される駅直結の施設で買物が終結してしまい、周辺商店街への回遊が生まれにくいこと。一つは、東口に比べ西口の整備が遅れを取っていること。そして池袋のある豊島区が平成26年、東京23区で唯一、消滅可能性都市として指摘されたこと。これらの課題を踏まえ、池袋では現在さまざまな再開発計画が進められています。

 そのような状況下で池袋駅周辺は平成27年、特定都市再生緊急整備地域及び国家戦略特区に指定されました。再開発には豊島区が主導するプロジェクトが多く、同年に先陣を切って誕生したのが、としまエコミューゼタウンです。区新庁舎と民間超高層マンションとの一体型開発という日本初の試みは、自治体が抱える建替え資金問題に対してのエポックメイキングな事例となりました。旧庁舎跡地は隣接する豊島公会堂・区民センター・分庁舎跡地と共に再開発され、Hareza(ハレザ)池袋となって来年から順次お披露目される予定。区が進める「国際アート・カルチャー都市構想」を牽引する、新ホール・シネコン・新区民センターをはじめとした8つの劇場空間を備え、圧倒的な賑わいを生み出します。

 また、環境に優しい池袋を象徴する電気バスLRT(Light Rail Transit )システムの導入の基盤として明治通りのバイパスが整備されつつあり、区内最大規模の(仮称)造幣局地区防災公園の整備、池袋西口公園の野外劇場への全面リニューアル、トキワ荘の忠実な再現などが、来年と再来年の完成に向けて進行中。さらに、池袋駅東西連絡通路整備事業、西武鉄道池袋旧本社ビルのエリア最大級賃貸オフィスビル建替え計画、約5.3haに及ぶ池袋駅西口地区まちづくり推進事業なども着実に進められており、自分が主役になれる“訪れるのが楽しい街”へと大きな変貌を遂げようとしています。

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